丼王への道

5400丼超! 下北沢カレーフェスに行けないので「孤独な渋谷カレーフェス」開催しています(w)

佐伯一麦『還れぬ家』より 「いもご飯」

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震災直前の、父親との最後の日々を描いた私小説である。
作家が父と二人きりになって思い出したのは、
子供の頃の思い出の味だった。

『休日に、父がもっさりと台所へと立って、
 昼めしを作ってくれることもあった。
 献立は、いもご飯かくずかけと相場が決まっていた。
 いもご飯は、濃いめに作ったじゃが芋の味噌汁に
 冷や飯をぶちこんだおじやの類で、
 おそらく軍隊時代に覚えた味だったのだろう、
 と後になって想像された。
 母親はカレーライス
 (家庭でのそれはライスカレーと呼んでいた)
 にも一口も口をつけないほどに、
 ご飯と汁物が雑じった食べ物を癇症に嫌悪していたから、
 二階で参考書を広げて勉強していることが多い兄も下りてきて、
 皆でふうふう言いながら匙で掻き込むいもご飯には、
 この家の中での男同士の連帯感のような味もあった。』

(P86)

素敵な男の料理である。
  
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